レポート2019.04.21あきらめない姿に心動かされるドキュメンタリー映画『熱狂宣言』
4月21日(日)、北谷町のミハマ7プレックスで、特別上映作品『熱狂宣言』の舞台挨拶が行われました。上映前に行われた舞台挨拶では、主演を務めた松村厚久さんと、プロデューサーの江角早由里さんが登壇しました。
松村さんは、従業員数約1万人を抱える年商500億円の株式会社DDホールディングスの代表取締役社長で“外食産業の風雲児”とも呼ばれている人物で、14年前から若年性パーキンソン病を患っています。この映画は、進行する病魔に負けない精神力と“熱血の人”松村さんの1年を追ったドキュメンタリーとなっています。
本作品の監督を務めたのは映画『ハチ公物語』を製作した奥山和由さん。その奥山さんが「今まだにない、まったく新しい映画を作る」ことをコンセプトとしたフリーシネマプロジェクトの第1弾作品であり、まったく新しいヒューマンドキュメントとなっています。
松村さんは映画にも登場する社員たちに付き添われながら、チョコプラのTT兄弟に扮して登壇。劇場内の「T」を見つけては、会場を笑いに包みました。さらに、主題歌を歌うとみせかけて『熱血宣言』と同時期に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』のQUEENの名曲『We Will Rock You』のほうを観客と共に歌ったり、さらにもう1曲『桜坂』を熱唱したりと、冒頭からサービス精神全開でした。
ドキュメンタリー映画のオファーがあった時のことを聞かれた松村さんは「ノンフィクション作家として活躍している小松成美さんが執筆した『熱狂宣言』を読んだ、映画監督の奥山さんが突然訪ねてこられたときはびっくりしました」と、声を振り絞って当時のことを懸命に答えます。
また、自分でこの作品を見て感想を聞かれ際、間にプロデューサーの江角さんが入り、松村さんが語るかすかな声を聞き取ってくれました。「なかなかいい映画だと思いました。ファッションも見てください」とのこと。闘病しながら人前に立つ松村さんは、常にお洒落にも気を配っているようです。
松村さんはパーキンソン病の初期症状を発症から約10年間秘密にして仕事をし続け、書籍『熱狂宣言』と共に病気のことを公表された当時を振り返り、「ノンフィクション作家の小松成美さんに5年の歳月をかけて執筆の依頼をしていたのですが、その本を映画監督の奥山和由さんが読んでくださって、ぜひ松村さんに会いたいということをきっかけに映画化の話がスタートしたのです」と映画化になった経緯を語りました。
最後に来場されたお客様に向けて「みなさん、今日は来てくださって、ありがとうございます」と、何度もありがとうと感謝の言葉を繰り返しました。映画上映後は、劇場前で来場客と握手したり、記念撮影に応じたり、最後までサービス精神を尽くす姿がとても印象的でした。
来場者との握手が終了した後、今回沖縄国際映画祭での上映について感想を訊ねてみると、「とても嬉しいです。これまで北は北海道から、南は沖縄で今回上映できました。これから全国各地でもこの映画を上映していきたいと思っています。6月には九州の鹿児島・熊本・福岡でも上映を行う予定です」とコメント。立つこと、歩くこと、話すことが困難になってきても、あきらめない姿に心動かされる映画でした。