レポート2019.04.20ヤン・イクチュン監督のユーモアに観客も笑顔!とっておきのサプライズも飛び出した特別上映『息もできない』
4月20日(土)、那覇市の桜坂劇場ホールBで特別上映『息もできない』の舞台挨拶が行われ、ヤン・イクチュン監督が登壇しました。
本作は2008年に製作された韓国映画で、日本では2010年に公開。子どものころに起きたつらい出来事を抱えたまま破滅的な日常を送る主人公と、心の傷を隠しながら生きる女子高生が出会い、次第にひかれ合うものの、彼らを取り巻く運命の歯車が徐々に狂いだしていくさまを描いた作品です。
上映後、満員の観客を前に登壇したヤン監督は「沖縄に来たのは初めてでビーチがきれい。今回は招待をいただき、お客さんがいっぱい来てくれてうれしいです」と日本語で挨拶。会場から温かい拍手が起こります。
本作で製作・監督・脚本・編集・主演の1人5役を務めたヤン監督ですが、主人公・サンフンを演じる上での役作りについて「自分は主人公と真逆のタイプ。小心者で敏感です。でも、映画では自分の中にもある暴力的な部分を表現しました」と話したあと「オレはやさしいです」と茶目っ気たっぷりに日本語でアピール。また、製作資金を捻出するために自宅を売却したのは本当? という質問に「本当です」と答えるなど、気さくな受け答えで観客を沸かせました。
映画『あゝ、荒野』に出演するなど日本でも自身の活躍の場を広げていますが、日本映画と韓国映画の違いについて尋ねられると「日本の映画はいろんな役割が細かく整理されていますが、韓国は粗いです(笑)。早く撮るので現場の雰囲気が優しくない」と本音をポロリ。その上で「日本の作品に出るのはとても楽しいです。でも韓国映画が持つ〝強い雰囲気〃もすごく良いです」と語り、両国の映画に出演している立場ならではの感想を語りました。
期待される次回監督作については「まだまだ勉強したい」と謙虚に答えたヤン監督でしたが、ぜひ沖縄を舞台に、と提案されると「沖縄には美しい自然など良いところがいっぱいあるので、ここにいる(観客の)皆さんが1人50万円ずつ出してくれたら…」とユーモアたっぷりに返答。最後は観客の皆さんに本作のチラシやバッジをプレゼントするなど粋なサプライズも用意され、サービス精神旺盛なヤン監督に大いに魅了された舞台挨拶となりました。