レポート2019.04.19名女優・小山明子が夫であり監督大島渚との思い出を語った『夏の妹』上映&舞台挨拶
4月19日(金)、那覇市の琉球新報ホールで、沖縄ヒストリカルムービー『夏の妹』の上映と舞台挨拶が行われました。
『夏の妹』は、本土復帰直後の沖縄を舞台に、当時では珍しいオール沖縄ロケが敢行された大島渚監督の作品です。独特な登場人物相関とストーリー、沖縄の異国情緒あふれる風景が相まった、ファンタジックな作品となっています。
上映終了後に、出演者の小山明子さん、石橋正次さん、沖縄の出演者・上原直彦さんのほか、この作品を大きなスクリーンで観たいと駆けつけた桂文枝が登壇しました。
まず、出演者であり、大島渚監督の妻である女優の小山明子さんが「はじめて沖縄に来たときはまだパスポートを利用して、ドル時代のことでした」と挨拶。そして、大島監督が亡くなる前に最後に二人で旅行に訪れたのも沖縄だったと思い出も語ってくれました。
続いて石橋正次さんが、少し照れながら「僕、可愛かったでしょう?」と言うと客席は爆笑に包まれ、撮影当時の自身のやんちゃぶりがそのままスクリーンに映っているということで、映画というよりもドキュメンタリーのようだったと話しました。
白い衣装を身にまとった小山明子さんが美しかったというエピソードでは、作品を観た桂文枝も感激し、登壇者もまたうなずきます。「小山さんの役どころは神秘的なカミンチュ(ノロのようなもの)のイメージだから」と大島監督が特にこだわったと、上原直彦さんが明かしてくれました。
また、沖縄の唄者を演じた戸浦六宏さんのあまりの演奏のうまさに「吹き替えですよね?」と驚いた文枝に対し、すべて本人が唄い、演奏していたことが語られます。吹き替えはしないと稽古を積む、本物の役者魂を見たという上原さんに、「あの沖縄のうたも大好きだし、戸浦六宏さんの声もすばらしい」と絶賛する小山さん。
最後に、「大島が大好きだった沖縄で、沖縄で撮った作品をみなさんに観てもらえて、大島も本当に喜んでいるはずです。また大島映画をスクリーンで上映してもらえる機会があれば、ぜひ沖縄に来たいです」と小山さんが挨拶すると大きな拍手が沸き起こり、上映と舞台挨拶が盛況のうちに幕を下ろしました。